前号からのつづき
【本文解説】
仏の教えを敬い、理解実践しようとする者は、そのはじめより、この因果の道理を学び、正しい理解のもと、結果のみに左右されることなく、たとえ僅かでも仏教にかなった生活を求め、勤めていかなければならないのです。
人は正しい判断力があればこそ、誤ったものを見極めることが出来るのです。正誤、聖邪を見極められる智慧の眼を早急に養わなければなりません。
でなければお互い、己に都合の良い解釈のみで物事を判断し、自らの利益に固執し、他の利益を奪い合うことに奔走して、あるいは傷つけ、あるいは妬み、憎しみ、永遠に心の安らぎを見出すことのない、長い苦しみに埋没することになるのです。
以上、ここまでが『修証義』全五章の中の第一章、「総序」(そうじょ)の解説となります。
突然内容が途切れた印象を憶えるのは、『修証義』全体の構成そのものが、前章を受けて、または関連づけされたうえで、述べられる形式となっているためであり、第一章である「総序」は特に、その名の示す通り、『修証義』の序章としての役割とともに、その全体の要点を簡潔に、しかも私たちの心に印象深く刻まれ、それぞれの自覚を促すような文言を、多く含んでいるためでもありましょう。
講座(4)『修証義』の教え⑯
仏の教え