講座(4)『修証義』の教え⑤

仏の教え

 お釈迦様はその教えの中で、精神も物質もこの世の全てが、様々な原因(因)とそれを助長する縁因(縁)の不可思議な結合により、結果的(果)に存在を有していると、説かれました。
 この道理のことを「因果」、あるいは「因縁」といい、仏教の教えの根本としております。
 それぞれの人生における時代や環境、導き手、自己の精進、影響力のある周囲の存在等、様々な原因、縁因が交わり重なり合ったすえに、千差万別の違う結果として現れてくるものが「現状」と称される個々の認識とも言えます。
 自らの欠かすこと無き精進努力によっても、満足な結果が望めないこともあり、また自堕落な生活を続けながら、周囲が羨むような生活をする者がいることも、この摂理すなわち「諸因諸果」(しょいんしょか)の道理のためであると説かれます。
 諸因諸果とは、様々な原因の集合体からは、様々な結果が生じる、という至極当然な法則のことをいい、我々がよく知っている「自業自得」(じごうじとく)もその一つです。
 仏教で説かれる教えが「自業自得」であると誤って限定解釈されることがありますが、仏教で説かれるのはあくまで諸因諸果ですので、自業自得について述べる場合には「自業他得」(じごうたとく)、「他業自得」(たごうじとく)、「他業他得」(たごうたとく)についても合わせて示して、諸因諸果として解釈を勧めなければなりません。
 業(ごう)とは、行いのことをさしますが、意に添わない、不本意ながら、自らすすんでという精神面を宿し強調された行いのことを、とくに業と称するのです。  次号へつづく
                
                
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