講座(4)『修証義』の教え③(第1章 総序)

仏の教え

 第一章 総序(そうじょ)

 さて、いよいよ本文の内容に入りますが、先の説明の通り『修証義』は、第一章 総序・第二章 懺悔滅罪・第三章 受戒入位・第四章 発願利生・第五章 行持報恩の全五章の章立てとなっており、この順列にも単純な初後の位では理解できない内容が含まれております。
 仏の教えとは、頭中に限定されるような個人的思想や、理屈、理論等ではなく、どのように物事を多面、多角的に判断して、それらを実践に移して生活すべきか、といういわば人生の手引書でもあります。
 それゆえに第一章の総序においては、直に核心を示して、仏の教えが己の個人的利益を満足させるべき理屈や思想ではなく、様々な労苦多き人生という現実と向き合いながらも、決して己自身を見失うことのない心構えと、むやみに後悔を引きずらない正しい判断力を促す教えであり、その善智識に従って理解と実践を重ね生活していくことが急務であることを諭し、文字通り『修証義』の全五章を総括して「序章」としているのです。
内部補修も完了し、木曽ヒノキの床板、格天井もうかがえるようになった開山堂(かいさんどう)。