③挙棺念誦は、棺前念誦に引き続き読経(どきょう)される「十仏名」(じゅうぶつみょう)の後に唱えられる文言であり、内容は次のようになります。ちなみに「十仏名」とは、
毘盧遮那仏
釈迦牟尼仏
弥勒仏
一切諸仏
妙法蓮華経
文殊師利菩薩
普賢菩薩
觀世音菩薩
菩薩摩訶薩
摩訶般若波羅蜜
の名号(みょうごう)それぞれを仏の別名と捉え、尊称等を付しながら心に念じ、口に唱え読誦(どくじゅ)することをいい、古来よりその功徳力(くどくりき)大なると考えられた由来から、葬送儀式においても特に複数回、念誦されているものと思われます。
「いよいよ故人の棺を挙して、厳かに埋葬の儀式、野辺送り(のべおくり)におもむきたいと思います。時に恭しく皆が惜別の意を表するに際して、僧侶の方々に仏のみ名をお唱えいただき、いよいよ故人が、目覚めの道へと進まれ新仏となられる世界が安穏となるべく、たすけ、たすけまいらすよう御仏を念じ上げます。」
現代では式場の都合等により、内引導(うちいんどう)と呼ばれ、引き続いて「引導法語」が勤められる場合が多く見受けられますが、古来の方法では、ここに至って「大悲心陀羅尼」(だいひしんだらに)を読経し、いよいよ墓所に赴くのです。
講座(2) 葬儀式の内容「本葬儀⑤」
仏の教え