講座(2) 葬儀式の内容 ②「仏垂般涅槃略説教誡経」

仏の教え

 前述してきた通り、お釈迦様はお亡くなりになる直前まで、お弟子様のために教えをとかれました。その教えが「仏垂般涅槃略説教誡経」(ぶっしはつねはんりゃくせっきょうかいきょう)であり、正安寺では故事にそって、お通夜の際に主としてお唱えしております。
 お唱えは、故人の安らかなるご冥福をお祈りするためであることは勿論ですが、お釈迦様のご遺言でもある教えを、故人にかわりご子孫や近しい方々に、お伝えする面も含んでいると言えましょう。ですから書き下し文の形で比較的傾聴し易くお唱えされております。
 そうはいっても、仏教的専門用語もたくさん含んでおりますので、緊張もしているお通夜の席では、たとえわずかと雖も理解することは難しいと思われます。そこで今回は、「仏垂般涅槃略説教誡経」の内容を、おおまかに解説してみたいとおもいます。
 お題目は、お釈迦様がお亡くなりになるに際して示された、戒めごとを具体的に説かれたお経、というほどの意味で、まず、釈尊が最初の説法にて五人のお弟子様を教化し、最期の説法として須跋陀羅(しゅばつだら)尊者を教化し、今まさに入滅せんとしている情景を示されます。
 そしてお弟子様方に対して今後、説かれた戒めをよく守って身心を制して、我執我見我欲をつつしみ、静寂を求めて怠りなく精進をして、禅定を修して智慧の眼を得べきことを求め、前述した「四聖諦」(ししょうたい)の教えの重要性を重ね示してお経をむすばれます。
         
正安寺境内に咲く花々。