おさとり(自他を含め社会を偏り無く見つめる眼)に目覚めたお釈迦様は、まず初めに国王に命じられ、王子を国に連れ戻そうとしていた五人の人々に仏法(ぶっぽう)をお説きになりました。最初はいぶかしく思っていた五人も、その教えを何度も聞いているうちにかっかり感銘され、ついにはお釈迦様の初めてのお弟子様となられました。
この初めて説かれた教えを「四諦八正道の教え」(したいはっしょうどうのおしえ)といい、またこの出来事全体を「初転法輪」(しょてんぽうりん)と申しております。転法輪とは、仏の教えを大事を運ぶ荷車の車輪に喩えて、その初めて出発した轍が限りなくつづき、さらに交わり広がっていった様子から後世に名付けられた言葉です。
四諦とは正確には四聖諦(ししょうたい)といい、四つの明らかな真理、ことわりという意味で苦諦(くたい)・集諦(じったい)・滅諦(めったい)・道諦(どうたい)からなり、仏の教えである苦・集・滅・道(くしゅめつどう)などと略し称されることもあります。
八正道とは四聖諦中、道諦を分類したもので、正見(しょうけん)・正思惟(しょうしい)・正語(しょうご)・正業(しょうごう)・正命(しょうみょう)・正精進(しょうしょうじん)・正念(しょうねん)・正定(しょうじょう)の八つの修めるべき実践的心構えを示しております。
講座(1) お釈迦様と仏教 ⑥初めての教え
仏の教え