講座(4)『修証義』の教え㊲

仏の教え

 〇衆生(しゅじょう)を利益すというは四枚の般若(はんにゃ)あり。一者布施(ひとつにはふせ)、二者愛語(ふたつにはあいご)、三者利行(みつにはりぎょう)、四者同事(よつにはどうじ)、是れ則ち薩埵(さった)の行願なり其(その)布施というは貪らざるなり、我物に非ざれども布施を障(さ)えざる道理あり、其物の軽きを嫌わず、其功の実なるべきなり、然あれば則ち一句一偈の法をも布施すべし、此生他生の善種となる、一銭一草の財をも布施すべし、此世他世の善根を(きざ)す、法も財なるべし、財も法なるべし、但彼が報謝を貪らず、自らが力を頒(わか)つなり、舟を置き橋を渡すも布施の檀度なり治生産業(ちしょうさんぎょう)固(もと)より布施に非ざること無し。

【用語解説】
 般若=智慧
 布施(ふせ)=厳密には財施、法施、無畏施の三施。施すこと。
 愛語(あいご)=他を慮る言葉。
 利行(りぎょう)=真に本人を利すべき行い。
 同事(どうじ)=難事難行に伴に力を尽くす事。

【本文解説】
 仏教徒であるならば己のみならず、同じく仏の教えを敬い勤め守ろうとしている仲間達と共に、仏境涯を目指すこととなります。
 たとえ己の修行が未完成であろうとも、迷い苦しみの世界にいる仲間を、より多く仏の世界に導きたいと願う者の行いには布施、愛語、利行、同事の四種類があり、日頃からこれらを進んで勤めている者を、仏道修行者の中の修行者として菩提薩埵(ぼだいさった)または菩薩と呼称されるのです。  つづく
仏殿の本尊様右側の脇侍、摩訶迦葉(まかかしょう)尊者。お釈迦様に続く仏教の二代目。
仏殿の本尊様左側の脇侍、阿難陀(あなんだ)尊者。仏教の三代目。