講座(4)『修証義』の教え㉙

仏の教え

 〇次には応(まさ)に三聚浄戒(さんじゅじょうかい)を受け奉るべし、第一摂律儀戒(しょうりつぎかい)、第二摂善法戒(しょうぜんぽうかい)、第三摂衆生戒(しょうしゅじょうかい)なり、次には応に十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)を受け奉るべし。第一不殺生戒(ふせっしょうかい)、第二不偸盗戒(ふちゅうとうかい)、第三不邪淫戒(ふじゃいんかい)、第四不妄語戒(ふもうごかい)、第五不酤酒戒(ふこしゅかい)、第六不説過戒(ふせっかかい)、第七不自讃毀他戒(ふじさんきたかい)、第八不慳法財戒(ふけんほうざいかい)、第九不瞋恚戒(ふしんにかい)、第十不謗三宝戒(ふぼうさんぼうかい)なり、上来三帰、三聚浄戒、十重禁戒、是れ諸仏の受持(じゅじ)したもう所なり。

【用語解説】
 三聚浄戒(さんじゅじょうかい)=清濁を超えながら身心の清浄を保つ三位一体の戒め。
 十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)=特に重きを置くべき十種の具体的戒め。

【本文解説】
 先に曹洞宗として受戒すべき十六条戒中、「三帰戒」について述べてきたので、ここからは残りの「三聚浄戒」、「十重禁戒」について示すこととなります。
 「三帰戒」即ち、仏とその説かれた教え、教えを信頼し共に学び実践する仲間達を慕い、敬う心構えができたならば、次いで人間の計らいによる清濁を超え、己が平常の行いを清浄に保ち、道理に適った方向へ導くための、三種類としながらも真には一つに帰一(きいつ)する戒めを理解しなければなりません。    つづく 
                    
正安寺仏殿に掲げられた扁額(へんがく)、「覺皇殿」(かくおうでん)の文字は、清代の曹洞宗の僧でもある為霖道霈(いりんどうは1615-1702)の書である。道霈は14歳で出家、はじめ白雲寺の永覚元賢に参じ後、鼓山の元賢より印可を受けて跡をついだので鼓山道霈(こざんどうは)とも呼ばれている。時代的に恐らくは当山十六世大梅法撰禅師との親交が思慮される。