社会の中の【仏教用語】他⑬意地(いじ)

社会の中の【仏教用語】他

 「仏の教え」、【摩訶般若波羅蜜多心経】の解説時にも示された通り、仏教では私達人間の感覚器官を、眼(げん)・耳(に)・鼻(ぴ)・舌(ぜっ)・身(しん)・意(い)の六根(ろっこん)に分類し、それぞれの対象となる事象を、色(しき)・声(しょう)・香(こう)・味(み)・触(そく)・法(ほう)の六境(ろっきょう)、さらに六根と六境が相対して生じ認識感覚をそれぞれ、眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識の六識(六識)とし、通常「六根・六境・六識」、または三科と称して根本分類としています。
 またこれら全てを称して「十八界」(じゅうはちかい)と述べ、六根と六境を合わせて「十二処」(じゅうにしょ)と記す場合もあります。その場合には、現実世界を仏教的観点から五種に分類した「五蘊」(ごうん)と合わせて「五蘊・十二処・十八界」とも呼称されます。
 ちなみに五蘊とは、色蘊・受蘊・想蘊・行蘊・識蘊の五種を云い、色蘊のみ色や形のある物質を示すが、受蘊から識蘊までは全て感受・表像・意思形成・分別認識等に関わる認識作用としている。
 その意味から、意識の意と法境に対した時に現れる識蘊をも下地として含めた、故人の分別認識の有り様を示した言葉が「意地」の本質となります。
 その個々の分別や認識作用の働きそのもの、心根を評して「意地悪」(いじわる)、または「意地っ張り」(いじっぱり)等の表現がされるのです。
                
                
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